アコーディオンは何を基準に、どんな機種を買えばいいのか?値段の相場は?

「アコーディオンを弾いてみたい」「習ってみたい」と思われる方がまず最初に悩むのが、「何を基準に楽器を選んだら良いのか?」という点だと思います。

今回は、楽器店で働いている私なりの楽器選びの基準を解説していきたいと思います。

  

目次

  • アコーディオン購入の際のチェックポイント
  • 少し無理をしてでも実際に試奏してから買った方がいい
  • 価格の相場
  • ボタン数・鍵盤数について
  • 見た目だけではわからないことがたくさんある

  

  

アコーディオン購入の際のチェックポイント

「アコーディオン」と一言にいっても、大きさ、重さ、鍵盤の数、リードの数、音色など、本当にたくさんの種類のアコーディオンが存在します。しかしピアノやギターのように一般に普及している楽器に比べると、日本に流通している量はかなり限られています。全体的な流通数は少ないが、一台一台スペックが違うというのがアコーディオン市場です。同じ楽器はほぼないと思って楽器選びをした方が良いと思います。

購入する際のチェックポイントは以下3つです。

  1. 音色
  2. 弾き心地(鍵盤の柔らかさ、持った感触)
  3. 外観(色、デザイン、重さ

  

少し無理をしてでも実際に試奏してから買った方がいい

新品の機種をオーダーしても、だいたい納品されるまで1年はかかるので、すぐに欲しいと思った場合は、アコーディオン専門店で店頭に並ぶ楽器を選ぶしかないと思います。

今はネットオークションや海外販売サイトも充実してきているので、だいぶ選択肢は増えましたが、やはり実物をその目で確かめて試奏し確認する以上に確実なことはありません。アコーディオンは精密機械ですし、蛇腹によって稼働する部分がかなり多いため、写真や文章からではわからないことがたくさんあるからです。 

初心者の方や機能面についてまだよくわからないという方は、必ず経験者の方や講師の先生などのアドバイスをもらってから購入した方が良いです。

海外サイトから個人輸入する場合は、発送事故のリスク、遅延や未発送、支払い時のトラブルなども考えられます。個人輸入の場合、何か問題が起こった際に輸入代理店経由でのアフターフォロ―が受けられません。対応はすべてご自身で行うことになりますので、その点ご注意ください。

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良い楽器ってなんだろう?

結局は「自分と相性が良い楽器」「扱いやすい楽器」というのが良い楽器だといえると思います。値段やブランドだけで決めるのではなく「自分好みの音が出て、自分なりの良い演奏ができる楽器」との出会いを是非目指してください。

時には直感で「なんとなくビビッときた!」という感覚で選ぶのもアリだと思います。弾いていてしっくりくる感覚や、好きな音色というのは人それぞれ違いますし、どんなに安くていい機種だったとしても、好みの音色でない場合はその先演奏していても楽しくないですよね。

  

価格の相場

アコーディオン選びでネックなのが・・・そう、値段です。思っていたよりも値札の金額が高くて驚いた方も多いのではないでしょうか? 

どんなに安くても新品の小型で10万円以上、中型の楽器でそこそこのスペックでも50万円くらいはします。超高級機種だと200万円~500万円代なんてのもあります!もはや車を買うような気持ちですね。

30万円台だとかなりお買い得なレベルですが、その場合例えば「中古品」であったり、コストを抑えるために何かしらスペックが削られているはずです。

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★中古アコ(10~30万円):例えるなら、中古車

【メリット】

使用感はあるが、スペックに対して相場より安価で手に入る。

【デメリット】

物によって善し悪しがピンキリ。安さだけで買ってしまうとあとあと後悔するパターンもある。アコ経験者でリードや音色の違いがわかるなどの知識がある人と一緒に買いに行くと良い。

   

★小型アコ(5~10万):例えるなら、軽自動車

【メリット】

小型なので、弾く人の体型に関わらず手軽に弾ける。持ち運びが便利。

【デメリット】

蛇腹や機体自体が小さいので音圧や響きは軽めの音になる。リードや材質のグレードが低いものが多いので(全てではないが)音色の面でやはり高級機種にはかなわない。弾き心地も軽い。
音色のバリエーションが少なかったり、スペックが低いことが多い。鍵盤数が少なかったりして弾きたい曲が楽譜通りに弾けないこともある(アレンジが必要になる)。

    

★大型アコ・高級アコ(100万円以上):例えるなら、高級車。500万円以上する楽器もある。

【メリット】

デザインからパーツから弾き心地まですべてが高級。プロがメイン楽器として使用するレベルの機種。大切に使用し、こまめにメンテナンスしていれば一生使えることは間違いない。

予算に余裕があり、アコーディオンの為に書かれたソロ曲なども挑戦してみたい方にはこのレベルの楽器を購入してもまったく無駄ではない。チャンバー付き、チャンバー仕様などと書かれた機種の大半は100万円を超えてくる。

【デメリット】

重い。大きい。運ぶのが大変。

小柄な体型の方でも演奏は不可能ではないが、慣れるまでにそれなりの鍛錬が必要なのと、正しい姿勢や体幹を意識して操作するなどの、より緻密な訓練を積む必要がある。

    

スペックが高くなると楽器自体の大きさも大きくなり、値段も高くなります。新品においては小型で高い、大型で安いというのは基本的にあり得ません。

しかし最近はアコーディオンの価格もどんどん値上がりしてきており、今までの値付け価格より年々高騰してきています。同じ型版の楽器でも、値上がり前に仕入れられたものと値上がり後に仕入れられたものでは販売価格が異なる場合があります。

     

ボタン数・鍵盤数について

最初は「ボタンがたくさんあると大変そう・・・」と思って、小さく軽い楽器を選びがちなのですが、基本的には中型(34鍵盤72ベース以上、できたら37鍵盤96ベース以上)の楽器を購入することをオススメします。

機体が大きい点がそこまで気にならないという方は是非41鍵120ベースのものを。音域的にもこれ一台あればほとんどの楽曲に対応できますし、機体が大きいと蛇腹も大きくなりますので、響きや操作面での豊かさがアップします。

72ベースというのは、ベースのルート音が全て網羅されていることを示しています。(一列にベースボタン2個・コードボタン4個=6個ついていて、それが12ルート音分配置されている[12音×6ボタン=72ボタン])

ボタンアコーディオンの場合は、右手鍵盤よりもベース数で判断した方がよいかも知れません。左手は最低72ベース、できれば96~120ベースあると色々な曲に対応できます。72ベース以下でももちろん演奏は楽しめますが、何か既存の曲を演奏したいと考えている方は多少のアレンジや移調が必要となってきますので、その点を踏まえておいてください。

    

    

見た目だけではわからないことがたくさんある

ちなみに高級機種になると、鍵盤の弾き心地もよく滑らかになります(鍵盤の深さや柔らかさには個体差があります)。安価なアコーディオンはキーノイズが大きかったり、鍵盤によって高低差が出てきたりするものもあります。

蛇腹の操作感も、機種によって変わってきますので、こればっかりは実際弾いてみないとわかりません。やっぱり試奏してからの購入が望ましいですね。

  

楽器は購入してからが音楽のスタートです。「自分と相性が良い楽器」「扱いやすい楽器」と出会うえるよう、国内のアコーディオン専門店などにアコーディオン探しの旅に出てみて下さい。私も引き続き、ネット上でも色々な楽器を紹介していきたいと思っています。

アコーディオン好きの皆さんがお気に入りの一台と巡り合えますよう、心から願っています!