蛇腹楽器のABC~バンドネオン編

蛇腹楽器の中でも一番運指が複雑で、ひときわ怪しい音色の謎に包まれた楽器です。変わり者の多い蛇腹楽器愛好家の中でも、さらに変わったユーザーさんに好まれているような気がします。笑 バンドネオンにもクロマチック式とダイアトニック式があります。

  

目次

  1. クロマチック式
  2. ダイアトニック式
  3. バンドネオンの歴史
  4. 最後に

  

クロマチック式

クロマチック式配列のバンドネオン。リシャールガリアーノさんなど、アコーディオニストの方が演奏しているのを見たことがあります。蛇腹の押引で同じ音が出せるので、演奏時の感覚としてはアコーディオンと近いのかも知れません。音にキレを出したいというよりなめらかにメロディーを奏でたい場合はクロマチック式の方が得意なようです。

Aria de J.S. Bach – Richard Galliano (Clip)

Aria de J.S. Bach – Richard Galliano, titre issu de l’album “Richard Galliano joue Bach”, déjà disponible sur le label Deutsche Grammophon. ” Pour moi c’est …

  

⇩運指表と音域

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半音ずつ規則的にボタンが並んでいます。中音域は約2オクターブ重複しています。

  

ダイアトニック式

押引異音のダイアトニック式バンドネオン。バンドネオンにおいては、こちらの方が主流のようです。タンゴのようなキレのある曲調、音のつぶをハッキリ出すのが特徴な楽曲にはダイアトニック式が用いられることが多いようですがそれが絶対という訳ではなく、もちろんなめらかな旋律も奏でられます。日本での第一人者といえば小松亮太さん。曲はピアソラの代表曲「リベルタンゴ」です。

リベルタンゴ : 葉加瀬太郎 with 小松亮太

LIBERTANGO / A.Piazzolla —葉加瀬太郎(Taro Hakase):バイオリン小松亮太(Ryota Komatsu):バンドネオン柏木広樹 (Hiroki Kashiwagi):チェロ榊原大 (Dai Sakakibara):ピアノ天野清継 (Kiyotugu Amano):ギタ…

⇩運指表と音域

画像2

※機種によって一部、配列が異なることがあります。この運指表はアルフレッド・アーノルド製のバンドネオン運指表になります。
うーん、一見しただけでは配列の規則性がわからない・・・!

  

バンドネオンの歴史

バンドネオンは1835年頃にドイツのハインリッヒ・バンドによって考案、制作されました。1864年にドイツのアルフレッド・アーノルド(頭文字をとってAA:ドブレアー)が量産を始め、1922年~1930年が最盛期で、その多くはアルゼンチンに輸出されました。1933年アルフレッドの死後、息子が引き継ぎ、1949年までバンドネオンを作っていました。現在日本にあるほとんどのバンドネオンはアーノルド社の製品です。(バンドネオン・メソッド 石居庸介 著より)

  

そもそもバンドネオンは ジャーマンコンサーティーナ という楽器から派生したもので、広義にはコンサーティーナと分類されるらしいのですが、その変遷の歴史に関してこれ以上のことは・・・詳しい方々にお任せします!汗(もうすぐ小松亮太さんの書籍「タンゴの真実」も発売されるそうですので買って読みましょう!👇)

タンゴの真実

タンゴの真実

   

最後に

バンドネオンに関しては日本での新品の取り扱いがほぼなく、谷口楽器でも今のところ中古品の取り扱いのみです。PIGINIやVICTORIAなど、アコーディオンメーカー製作によるバンドネオンも一応カタログにあるのですが、店頭に在庫が無いので受注生産という形になります(届くまで一年くらいかかる)。

このままですと絶滅してしまうかも?!なバンドネオンを広めるために、いつか新品バンドネオンを仕入れられたらいいなと思っています(野望)。

では、また!