アコーディオン取扱い上の注意

   

アコーディオンを取り扱う際の基本的な注意事項をまとめてみました。

アコーディオンに1台に使用されているパーツはこんなにたくさん!精密機械のような楽器です。

   

アコーディオン取扱いの注意① 保管する際に注意する事

湿気とホコリは大敵

これは他の楽器でもそうですね。アコーディオンは内部の構造が複雑なので、一度これらが付着してしまうと掃除や修理にかなりの手間がかかります。中のリードと鍵盤を支える芯棒は金属のためサビやすいです。普段から注意しましょう。

 

潮風、塩分も大敵

アコーディオンは常に外部と内部を空気が行き来します。海辺などで弾いた後は(なかなか無いでしょうが)、必ず内部の塩分を含んだ空気を入れ替えてください。内部に塩分が残っていると、こちらも金属部のサビの原因となり、ピッチが狂う原因となります。

 

万が一雨に濡れてしまったら?

すぐに乾いた布でよく水分を拭いて、全体を十分に乾かしてからケースにしまってください。

  

直射日光、車内での長時間放置は良くない

とても頑丈そうに見えるアコーディオンですが、リードプレートをウッドブロックに並べて付着させているのは、「ろうと松やに」の混合物です。それが熱気で溶けると、既定の位置からズレ落ちてしまいます。

  

寒冷期はOK?

リードは特殊な鋼、リードプレートはアルミですので、冬になるとその収縮率が違うところから、リードを押さえ付けてしまうことがあります。

これはウォームアップで少し弾きならすことで徐々に体温で温められ解消しますのでご安心を。リードを抑える笛皮という部分も寒さで固まることがありますが、同じように少し温めることで柔らかくなります。

※温めると言っても、ストーブなどで直接温めてはダメですよ~!たまに修理品で、ボディの角が溶けたものを見かけることがあります。

  

蛇腹の開閉は必ず、どこかしらの鍵盤を押しながら

初めて試奏される方で、いきなり思いっきり蛇腹だけ引っ張っちゃう方がいらっしゃいますが、コレ、とっても良くないです!蛇腹が傷む原因となります。

アコーディオンは、ボタンや鍵盤を押すことで、中のリードへ空気を送る「窓が開く」仕組みなのです。

窓が開いていない状態で無理やり蛇腹を引っ張ると、どこかしらの閉じるべき窓がきちんと閉まらなくて半開きになったり、蛇腹の空気漏れを起こす原因となったりします。

  

音を出しながらでないと、蛇腹を閉められないの?

音を出さずに蛇腹を閉じたい時、ありますよね(演奏の前後とかケースにしまう前とか)。

アコーディオンには必ず「空気ボタン」というのが付いています。

(だいたい左手側にあり、構えた時の親指に近い位置に設計されています。側面にあったり、ベースボタンの位置だったりと、機種によって厳密な場所は違います)

これを押さえながらでしたら、音を出さずに蛇腹の開閉をすることができます。

  

  

アコーディオン取扱い上の注意② 運搬時、天地無用

  

アコーディオンは、1台の中に細かいパーツがた~くさん組み込まれておりますので、運搬する時の振動には注意が必要です。

アコーディオンを宅配で送る際は、必ずこの写真のように、鍵盤側(右手で弾くほう)が上部になるように梱包してください。

     

  

特にベース部分なのですが、1つパーツがズレると、他のパーツも連動してズレ落ちて行ってしまうという現象が起こります。

↑このようにベースボタンが陥没して、修理するのが大変になってしまいます・・・うわぁ・・・恐ろしい。

  

アコーディオンのベース部分は、このように大変複雑な作りになっておりまして、輸送中の僅かな振動と重力、その時の上下方向によってはベースのパーツがズレてしまいます。

1個ズレると、他の部分も連動して落ちてしまうので写真のような状態になってしまい、とてもやっかいです。元通りに戻すにも相当な時間がかかります。

  

宅配便で楽器を送る際の手順
・ソフトケースあるいはハードケースに楽器を入れる。
・さらに段ボールに入れる。
・楽器ケースの内部、そして段ボールとケースの間も、できるだけすき間ができないようスペースに応じて緩衝材をしきつめる。
・上下左右の向きに気を付けて梱包し、上部に天地無用シールのステッカーを貼る。

できたら配送の方にも、重量のある精密機械(楽器)ですと伝えておくと良いかと思います。

  

ご自身の演奏前にも、会場まで車でアコーディオンを運ぶという方は注意が必要です。車のトランクの構造上、胸当て側を下にして置いてはいませんか?

演奏会当日、会場に着いていざ演奏しようと思ったら「今日は左手ボタンが陥没して使えません!」なんてことにならないよう、運搬時の上下向きにはご注意ください。